AGD Research ID: agd0015.v1
研究内容の概要
目的: 心房細動患者に対しカテーテルアブレーションによる洞調律維持治療が積極的に行われているが、約20%の例においては洞調律維持が困難であり、心房細動の再発を認める例が少なくない。アブレーション時の3次元マッピングシステムを用いた双極電位波高マッピングを用いて評価される左房内の局所的な低電位領域の範囲は、心房細動再発の重要なリスク因子である。この左房内低電位領域は、心房の線維化を反映したものと考えられているが、心房筋の組織学的評価はなされていなかった。本研究は、佐賀大学医学部附属病院でアブレーションを施行する心房細動症例において、心房中隔・心室中隔から心筋生検を行うことで、組織学的所見とアブレーション後の予後の相関、心房筋の組織学的所見と心房双極電位波高との関連、次世代シークエンサーを用いて心房心筋症発症の遺伝子発現制御機構を明らかにするとともに、その誘導因子の同定を目指すものである。
方法:
bulk RNA-seq:生検組織からNucleoSpin RNA Plus XSでtotal RNAを精製し、Smart-Seq 2 protocol を用いてcDNAを作成した。その後、Nextera XTを用いて、libraryを作成した。一部の小検体は、直接Smart-Seq 2 protocol を用いてcDNAを作成した。
single-nucleus (sn) RNA-seq:生検組織からSingulatorを用いて核抽出し、10x Chromium Single Cell 3' Regent Kit v3 でcDNAおよびlibraryを作成した。
snATAC-seq:生検組織からSingulatorを用いて核抽出し、10x Chromium Next GEM Single Cell ATAC Regent Kit v1.1 でlibraryを作成した。
対象: 心房細動症例の心筋組織
bulk RNA-seq:325症例、462検体
注1)心房筋は321症例・324検体(3症例で検体重複あり)、心室筋は138症例・138検体。
注2)134症例は心房と心室の両方のデータあり、187症例は心房のみ、4症例は心室のみ。
注3)8症例・8検体はsnRNA-seqも同時に実施(心房7症例・7検体、心室1症例・1検体)。
snRNA-seq:16症例、23検体
注1)7症例で心房、心室の両方を同時に実施。
注2)8症例・8検体でbulk RNA-seqも同時に実施(心房7症例・7検体、心室1症例・1検体)。
注3)5症例・5検体でsnATAC-seqも同時に実施(全て心房、これらはbulk RNA-seqのデータなし)。
snATAC-seq:5症例、5検体
注1)全ての症例でsnRNA-seqも同時に実施。
データID | 内容 | 制限 | 公開日 |
---|---|---|---|
AGDS_000012 | NGS(bulk RNA-seq、snRNA-seq、snATAC-seq) | 制限共有(Type I) | 2022/12/20 |
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分子データ
対象 |
心房細動(ICD10:I48.9):325症例 心房筋:324検体(7症例7検体はsnRNA-seqも実施) 心室筋:138検体(1症例1検体はsnRNA-seqも実施) |
規模 | bulk RNA-seq |
対象領域(Target Captureの場合) | - |
Platform | Illumina [NovaSeq 6000] |
ライブラリソース | 生検組織より抽出したRNA |
検体情報(購入の場合) | - |
ライブラリ作製方法(キット名) | Nextera XT |
断片化の方法 | 酵素反応 |
ライブラリ構築方法 | Paired-end |
リード長(除:バーコード、アダプタ、プライマー、リンカー) | 150 bp |
クオリティコントロール方法 | fastqc |
マッピング方法 | STAR(version 2.7.9a) |
マッピングの際のリファレンス配列 | GRCh38 |
Amed Genome group sharing Database Dataset ID | AGDS_000016 |
総データ量 | 832 GB(fastq、bam) |
コメント(利用にあたっての制限事項) | AGD policy |
対象 |
心房細動(ICD10:I48.9):16症例 心房筋:16検体(7症例7検体はbulk RNA-seqも実施、5症例5検体でsnATAC-seqも同時に実施) 心室筋:7検体(1症例1検体はbulk RNA-seqも実施) |
規模 | scRNA-seq |
対象領域(Target Captureの場合) | - |
Platform | Illumina [NovaSeq 6000] |
ライブラリソース | 生検組織から単離した核より抽出したRNA |
検体情報(購入の場合) | - |
ライブラリ作製方法(キット名) | 10x Chromium Single Cell 3' Regent Kit v3 |
断片化の方法 | 酵素反応 |
ライブラリ構築方法 | Paired-end |
リード長(除:バーコード、アダプタ、プライマー、リンカー) | 150 bp |
マッピング方法 | Cell Ranger software(ver 6.0.1) |
マッピングの際のリファレンス配列 | GRCh38 |
フィルタリング(QC)方法 | Cell Ranger software(ver 6.0.1) |
遺伝子数 | 500-1500 |
Amed Genome group sharing Database Dataset ID | AGDS_000016 |
総データ量 | 847 GB(fastq、bam) |
コメント(利用にあたっての制限事項) | AGD policy |
対象 |
心房細動(ICD10:I48.9):5症例 心房筋:5検体(全てsingle cell RNA-seqも実施) |
規模 | snATAC-seq |
対象領域(Target Captureの場合) | - |
Platform | Illumina [NovaSeq 6000] |
ライブラリソース | 生検組織から単離した核より抽出したDNA |
検体情報(購入の場合) | - |
ライブラリ作製方法(キット名) | 10x Chromium Next GEM Single Cell ATAC Regent Kit v1.1 |
断片化の方法 | 酵素反応 |
ライブラリ構築方法 | Paired-end |
リード長(除:バーコード、アダプタ、プライマー、リンカー) | 150 bp |
マッピング方法 | Cell Ranger ATAC software(ver 2.0.0) |
マッピングの際のリファレンス配列 | GRCh38 |
フィルタリング(QC)方法 | Cell Ranger ATAC software(ver 2.0.0) |
Amed Genome group sharing Database Dataset ID | AGDS_000016 |
総データ量 | 490 GB(fastq、bam) |
コメント(利用にあたっての制限事項) | AGD policy |
提供者情報
研究代表者: 小室 一成
所 属 機 関: 東京大学大学院医学系研究科 循環器内科
プロジェクト/研究グループ名:ゲノム医療実現バイオバンク利活用プログラム
科研費/助成金(Research Project Number):
科研費・助成金名 | タイトル | 研究課題番号 |
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日本医療研究開発機構(AMED) ゲノム医療実現バイオバンク利活用プログラム | 全ゲノム解析と組織オミックス解析による心房細動の病態解明と精密医療 | JP21tm0724601 |
関連論文
タイトル | DOI | データID | |
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